俺は、笑えなかった。
そんな物語みたいな笑えない病気とかではなく、俺はただただ、笑えなかった。
どうして、笑えないのか。
俺が普通の優しい家族と優しい友達に囲まれていたら、笑えていたのかもしれない。
−バンッッ
部屋中に響き渡った音
「…………い…たい……」
俺の小さな弱々しい声が響く。
「はははっ。ほら早く出て行け!」
お父さんの声。俺を叩いて蹴って笑って、追い出した。
でも……今日は……マシだ。
「…は…い」
俺は従い、ランドセルをせよってドアを開けた。
このランドセルは親がゆういつ買ってくれたもの。
でも、俺はこのランドセルが大嫌い。
俺の親が買ってくれたものなんか。
虐待している、という声が近所のおばさんらに広まったとしても。
警察が1度、来たときがあったとしても。
俺の親は、近所にはわからないように、
俺を叩いて蹴って笑った。
いつも通り、他の人にはわからない見えない場所を叩かれた。
今日は…背中…
痛い。本当に痛い。けど、今日はマシ…
「あれ…水…?…」
頬に水が通る。
泣いていた。大粒の涙を流して。
だめだ。他の人に、親が俺を叩いていることがバレたら…………。叩かれる。殺される。
俺は必死に涙を拭って、足を動かす。
家に帰りたくない。
でも、学校にも、行きたくない………。


