おかえりの言葉(短編・完結)

建人の恋人だから親切にしているけど、実は信弘は美和が嫌いだ。


小さすぎる身体も、愛らしいと称されるあの子供のような顔立ちも何もかも気に食わない。
 

甘やかされて育ったから、建人も自分を溺愛してくれないとおかしいと信じてやまないあの目には、平手打ちしたくなる事がよくある。
 

でも、争いごとを出来るだけ避けて生きていたい信弘は、いつも笑顔で話を聞いてやっている。


それを彼女は好かれていると思い込み疑わない。


まあ、疑われてもめんどくさい事になるからそれでいいのだけれども。