おかえりの言葉(短編・完結)

「シッポもない」


「いつからそんな趣味になったんだよ」
 

落ちた床から離れて信弘はケータイをいじりだした。


一応、メイドの入手方法を誰かに聞いてみようと思ったのだ。


「メイドって給料いるよね?」


「いらないに越した事はない」


「無理だろ」
 

こんな事を友達に聞いたら、自分がそんな趣味だと疑われるのじゃないかと思ったので、タイトルに『兄の誕生日プレゼントの件』と入れた。
 

返ってきた返事で何とかなりそうなのは、


・メイド喫茶に行ったらいいんじゃない?
・彼女に一日だけメイドのふりしてもらったら?


というものだった。


「メイド喫茶行く?」
 

信弘が健人の様子をうかがうように見ると、健人は下を向いたまま、


「飽きた」


と言った。