おかえりの言葉(短編・完結)

いつも自分の子供たちを恨んで、恥じていた。


愛する気持ちを封じた時、家族は本当の家族じゃなくなったのだ。
 

妻を起こさないように布団を抜けて信弘の部屋に行くと、信弘は眠そうに目をこすって顔を起こした。


「どうしたの?」


「いや、ちゃんと寝てるかなと思って」
 

中に入ろうかと思ったけど、できなかった。戻ろうか迷っている自分に信弘は子供のようなか細い声で、


「次はいつ出張なの?」


と言った。