おかえりの言葉(短編・完結)

母と健人は以前と変わらず楽しそうなのに、父だけがまるで裏切られたような顔をしていた。
 

それはまるで、親である自分を心配させた息子への非難のように思えた。
 

信弘は、元気になったんだよ。


もう心配なんてさせないよと元気にふるまったけど、頭をなでたり抱きしめてくれる父の表情はいつも妥協だった。
 

自分は父の愛を失った。


それを感じるのはとてもつらかった。