おかえりの言葉(短編・完結)

母が使いそうな鍋だけコンロの上に置くと、信弘はまたコタツに戻った。


もちろん買い物袋にミカンが入っていたのは知っていたので、ちゃんとカゴに入れて目の前に置いた。
 

今日の夜には手首くらいまで黄色くなっているだろう。
 

玄関で物音がしたので健人かと思ったら父だった。


父に会うのは何日ぶりだろう。


たまに父は家からいなくなる。


どうやら出張に行っているらしいのだけど、仕事の話を母にしかしないので信弘は彼がどこで何をしているのか知らない。