「ふうっ」

ここが私の戦場。

目の前にある大きな建物にびっくりする。
今日は、ここ七海学園の入学式。
この七海学園は、訳あって男女2人部屋。

自分の寮に行く時にじろじろ見られたけど、そんなの気にしない。
私は私が好きな格好をしてるだけだから。
私の相部屋の人は誰だろう、とみんなそわそわしてるけど私は正直誰でもいい。
まぁ、できれば私のことをわかってくれる人がいいな。

私、雨水りらはかっこいいものが好き。
制服だって学園長に私からお願いしてズボンにしてもらっている。
〈女子〉なのに。
私からお願いしてもらったから誰になんと言われようと気にしな…
わっ!あの子可愛い…
髪は緩くパーマがかかっていて、透き通る白い肌。
制服もアイドル並みに似合ってる。

「え〜っ!?あおもこの学校なの〜っ!?」

「そ…そうだけど…。」

「うわぁ〜!似合わなぁ〜いっ!」

「男なのにスカート履いてきっしょ〜」

あの子、男の子なんだ。
別にびっくりスカートすることはない。
私だってそうだし。
ていうか、わかってないよね。
平凡な人って。
自分のこと否定されたら怒るくせにさ。

「人の好きなことバカにするとか、バカじゃないの?」

「はぁ?お前だれだよ!」

「ん?私?雨水りら。女だよ。」

「うわーお前もじゃん!オカマー!」

「ねぇ、学園長呼ぶよ?3、2、1」

「えっ、やばい!いくよっ」

「うん!」

「はぁっ。本当、みんなバカだよ…。ていうか、あんたもバカじゃないの?」

「え…っ?僕?」

「あんた以外に誰がいる?」

「あっ…。ごごごごめん…っ」

「別に?」

「それと…助けてくれてありがとう…」

「私、あんたを助けた訳じゃないから。自分らしさ否定されるのが嫌なだけだから。」

「そうなんだ…。でも、ありがとう」

「ん。」

「はっ!ていうか、入学式始まっちゃう!急がないと!」

私は、あの子についていった。
名前、聞き忘れちゃったな…
でも、この学校に同じ子がいるのは、嬉しいな。
そんなことを考えながら走って体育館へ向かった。