暗い部屋にただ一人(短編・完結)

「異人なんて育てるんじゃなかったよ」


僕は捨てられていた。


母とは買い物に行って来るからといって、河原で別れたっきり会えなかった。


そんな僕を見つけて、この家のみんなに説得してくれたのが夕凪だったのだ。


なぜそうしてくれたのかは分からない。だけど、だからこそ僕は鉄格子の向こうの夕凪を見る。


こんな暗い部屋に閉じこめてしまうくらいならどうして僕を拾ったの?