暗い部屋にただ一人(短編・完結)

結婚して夫の世話をすることが幸せだとあの男は思っている。


だけど、夕凪は自分の体を与えて、男たちの気持ちを安らがせるのが幸せだと思っているに違いない。


僕は握っていた鉄格子を離し、真っ暗な部屋に座り込んだ。


あの男は今日は一日中、夕凪を口説き続けるだろう。


自分の持論を押しつけて。


僕はその声を聞きながら、錠が外からかけられているだろう扉を見る。