カテリーナが席を離れている間はノーマンとオーウェンの二人になった。
「オーウェン様はお嬢様の事、」
ノーマンが言いかけたところで制された。
「みなまで言うな! もう少し早く帰ってくれば、運命は変えれたかもしれないのにな……遅かったか」
はぁっとため息を吐くオーウェン。
「残念でしたね。お嬢様のデビュタントの時に貴方が居たら、どうなっていたでしょう?」
「歳が離れているが為に踏ん切りがつかなくてな、ちょっと長く離れすぎた。この前の夜会で、カテリーナを欲しいと思ったが遅かったなぁ……カテリーナは殿下には勿体ないよな……」
「マドレーヌ様のことを責めないでくださいね」
「当たり前だろ! 可愛い妹だぞ、マドレーヌは殿下とは友人だと言うしな、ったく」
「私はお嬢様が楽しく健やかに過ごしていただけるなら、殿下でもブラッド様でも、貴方でも誰でも良いんです」
「凄いな、達観して……お前こそカテリーナの事を好きなんだろう?」
「好きと言う感情とは違いますよ。私にとってとても大事な方、我が主です」
「嫌がらせをまだ続けているのか?」
「もちろん。お嬢様が望んだのですから」
「カテリーナの子供の時の話だろう?」
「一生一緒にいる代わりに、嫌がらせをしても許すと言ったので、心苦しく思いながらも、続けています。お嬢様がご結婚され、一人前になったら、ちゃんとお仕えします」
「変な主従関係だな……」



