「……そんな」
死にそうな顔をしていますね。行き場のない手を宙でワナワナと振るわせていますが知りません。思い出したらムカムカしてきました。
こんな……最低な人と婚約をするのですから、お仕置きは必要ですね。
「嘘をつく人は嫌いですからね」
少し声に怒気が含んでしまったかもしれません……レディとしてあってはいけない事かと思いますが……許されるでしょう。ここには二人だけですから。
「……これから信頼を取り戻していきますので見守っていてください。こんな地に落ちた信頼を回復するのには時間がかかるとは思いますが、チャンスを与えてくれて感謝します」
深々と……頭を下げますが、もうパフォーマンスにしか思えないのに……なんでこんな人を……