カテリーナの手を取ろうとしたが、あまりの可愛さに見惚れてしまい、私としたことが花を渡すのを忘れていた。小さなブーケを渡したら、喜んで受け取ってくれた。大きなものより適度なものが良いとマドレーヌにアドバイスされたのだ。

 サンキューマドレーヌよ。


 馬車に二人きりに……なるわけもなく侍女が居たが、カウントに入れないでおこう! 向かいに座るカテリーナが美しい。

 馬車の中がカテリーナの香りで充満すれば良いのに! そうなれば送って行って別れた後も、カテリーナを感じられるのに!
 近くに寄らない限りカテリーナの香りが感じられないではないか…!


 公爵家の嫡男オーウェン、カテリーナと親しすぎないか! 挨拶にしてはハグする時間が長い……胸を押し付けるな! カテリーナのピンクのリップがうっすら頬に付いて……羨ましい……

 イライラが隠せない……せっかくパートナーなのに……でも嫌われたくないから、言えないよ。


 マドレーヌ&ブラッドと合流した。マドレーヌにオーウェンのことを尋ねる。

「お兄様ね、カテリーナ様のこと可愛い可愛いと昔から言ってますから、頑張ってね」

 なんて笑顔で答えられた。


 カテリーナをダンスに誘い、初めて公式の場で二人で踊った。はぁ……良い匂いがする、強く抱いたら折れそうな腰を支えるように抱く。決してこれ以上、下に手をやってはいけない!! 自制心との戦いだ!