「「カテリーナ」」

「カテリーナに何をした? 私の大事な人に手を出したんだな」

「わたくし達はただ、躾を、」

「躾だと? 躾が必要なのはお前達の方だ!」


 いつも笑顔を絶やさない殿下が氷のように冷たい顔で睨むので泣き出す令嬢が出た。

 その間にブラッドが私を立たせて、制服についた土を払ってくれた。大丈夫? と眉を顰めて心配した顔で見てくるので手首を庇いながらも大丈夫。と答えました。


「ブラッド、こいつらの名前全員分かるな?」

 殿下がブラッドに聞きました。

「あぁ、勿論、いままでリーナに嫌がらせしていた奴らの一部だ」

 令嬢五人の顔を一人ずつ見遣る。


「そうか、では学園長に連絡をしてきてくれ」

 ブラッドにそう伝えると、令嬢達に目をやり、

「お前達の言い訳は聞かない、家に帰りしばらくは謹慎とする、以上」

 殿下が冷えた声で令嬢達に命じた。


「カテリーナ遅くなってごめん。行こうか」

 先ほどの冷たい表情はどこへやら、優しく微笑みながら手を取られました。