「ではカテリーナの盾となれ、何かあったらその命をかけてカテリーナを守れ、それを約束できるのなら、構わん」

「はい、お言葉のままに」

 執事は深々と頭を下げた。

「へー。思ったより懐が広いんですね、殿下って。見直しました」

「失礼なやつだな……カテリーナが望むのなら仕方がなかろう。なんかよく分からんが、この男が本気だと言う事は伝わった……ノーマンと言ったか? 何か私に言う事はもうないか?」


 今のうちに聞いておこう……

 なんかそう言う雰囲気だし。

 侯爵家の執事だし怪しいところはなさそうだ。


「失礼ながら……私のお嬢様をよろしくお願いします。大切なお嬢様です。私ができる事はお嬢様を見守ること、それだけです。殿下には誰よりも……私よりもお嬢様を大事にしていただきたいのです。お嬢様が健やかに過ごせること、それが私の喜びです」


 本心だろう。こいつの気持ちは恐らく恋とか愛とかではなさそうだ。もっと大きな……人生をカテリーナに預けている、ちゃんと返事をしなくては。


「お前の命より大事なものを私に預けると言うのだな?」

「はい、私の主人が貴方を選びましたので」

「分かった。約束するよ」