星くんは私以外に懐かない

そして、やっとの思いで出した声は、ちょうどアパートの外廊下を通った隣に住んでいる
おばちゃんに届いた。

だけど、そのおばちゃんは俺たちの親の顔を知らなかった。

おばちゃんから俺の服に手を入れられてるところは見えてなかった。

だから、「お母さん子供が2人とも喚いていてうるさいわよ、しっかりしてちょうだい」

なんて、言って去っていってしまった。


俺と妃菜は小学生ながらに絶望した。

「あはっ!お母さんだって、そー見えたのかな、若ママだと思われてたらいいなーでも、ちょっと残念」

と、女は愉快なことを言いながら、俺のズボンに手をつけていた。

「やだ、だめ!だめ!」

泣きながらその手を離そうとしてくれてる妃菜だけど、その女はそんな妃菜を押し倒した。

妃菜は床に尻もちをつき泣き喚いた。


どーしたらいいかわからなかった俺の目からも涙が出てきた…



そして、数分後父親が帰ってきて女は父親に連れて行かれどっかに行ってしまった。

怖かった。助かったと思った。

だけど、父親は今日あったことを触れることも誤ることもなかった。

何もなかったかのように。