星くんは私以外に懐かない

あっ、そう言えば小銭出しとこ。

私はバックから財布を取った。

ここからは…

240円だから


あれっ?

財布の中に、1円玉が4枚…10円玉が1枚、50円玉が1枚…

終わった…

千円札を出すしか…

古くてボロいバスには両替機もなければお釣りが返ってくる制度もない。


やだな、お金が無駄になっちゃう。

前日に見とくべきだった。

なんて、今後悔している

「…ねぇ」

えっ?


すると、左の窓側に座っていた男の子がいつのまにか私の後ろに座っていた。


ちょうどバスが止まっていていつもはいない会社人の女の人が乗ってきて1番前の席に座っていたタイミングに動いたのだろう。


「これっ…」

えっ、

その男の子の手には小銭の240円。


「ないんでしょ」

「いや、申し訳ないですよ…」

最後の方声小さくなっちゃった。


「ん」

そう言って私に無理やり小銭を私に渡した。