君から声がかかる前に

「ありがとう。……明日、警察に行こう」

僕は思わず口に出していた。

「なんで?」

「スマホに虐待の証拠、残ってるんだろ?見せに行こう」

「……一緒に来てくれる?」

少し悩んだ優弓は、なにかに納得したように言った。

「もちろん」

「ありがとう、椿」

「こちらこそ。生きててくれてありがとう、優弓」