君から声がかかる前に

一気に扉を押し開けると、夜風にあたっている一人の女性が立っていた。

「えっ……」

小さいはずの驚いている声が、僕まで聞こえた。

「ほら、帰るよ」

「なんで……」

優弓の手を取ると、本当になんで?って感じで返ってきた。

「それはあとで。家にいたくないんだろ?今晩だけでも家においでよ」

夢には出てこなかったが、昔お泊まりしたことを思い出して提案する。

「いいの……?」