君から声がかかる前に

問題は階段と、屋上の鍵が開いているかいないかだ。

とにかく真っ暗な中でほぼ手探り、いや、足
探り状態で階段を登る。

一階から登っていると、だんだんいつもの感覚が戻ってきて、最後の二階分はトントン登れた。

そしてやっと、普通は鍵がかかっていないとおかしい屋上に辿り着いた。

開いて欲しい願いとまだ生きていて欲しい願いの二つを込めて、小さい声で、開けごまなんて絵本だかアニメだかで見たことがある呪文唱えてみる。

ドアノブを捻ると、ガチャッと小さな音を立てて鍵が開いていることを教えてくれた。