早く、早くしないと……。

でも、財布もICカードも持っていないから、公共交通機関は使えない。

家まで戻って財布を持ってきた方が早いかも。

そう思ったけど、分かっていたけど、身体はもう学校の方へ向かって走り出していた。

優弓、優弓、優弓……!

生きてる?まだ生きててくれ!

間に合ってくれ!

心の中で叫びながら今までで一番早いくらいのスピードで走る。

酸素が足りなくて、呼吸が荒くなる。

足の動きもだんだん遅くなる中、やっと学校に到着した。

当たり前だけど門は閉まっている。