君から声がかかる前に

一言で言うと、良い奴。

悪いことなんて絶対しない。校則はきっちり守るし、ノリがいい。勉強は、微妙だけど。

咲のよく分からない話に相槌をうっていると、あっという間に教室に着いた。

「お、これまたラッキー!」

教室に入った途端のガヤガヤする音の中で、ハッキリ聞こえたその声の方を向くと、『一時間目の数学は自習(寝る時間!) に変更になりましたー!』

明らかに生徒の誰かが書いた字と、ゆるいイラストが黒板に白と赤のチョークで書かれている。

よし、寝よう。