「っはっ!はあっ」

僕は浮遊感で目を覚ました。

起きるとそこは、病院のベッドではなく自分の部屋。

思わずスマホをみると月を見る約束をした日の十九時。

安心したと同時に、心がザワつく。

もしかして……。

僕はスマホをポケットにしまって、勢いに任せて走って家を出た。

いつも歩いて五分の道が、走っているのにそれのりも長いように感じる。

やっと辿りついた「高川」と書かれた表札を横目に、インターホンを押した。