君から声がかかる前に

その日の夜から、思い出ムービーみたいな夢は見なくなった。

あの懐かしい夢は、優弓からのヘルプサインだったのかもしれない。

後悔を重ねながら過ごしていると、警察の調査が終わって学校再開になった。

くすんでみえる制服に腕を通し、いつも通りの道を通って学校に行く。

「おはよ……」
珍しく咲に一度も会わないで教室まで来た。

ふと優弓の机を見ると、透明な花瓶に白い菊の花が二輪と、クラスの人が持ってきたであろう大量のお供えが置いてあった。

優弓の好きなお菓子、ジュース。

焼き菓子から和菓子まで、幅広いジャンルの飲食物が置いてある。