君から声がかかる前に

茶封筒イコールで僕の脳から出てきたのはそれだけだ。

「いえ。こちらは遺書です。あと、ロックのかかっていないスマートフォンが入っていました。これが西野さん宛のものです」

遺書。

一生聞きたくない言葉のひとつだった。

どうして……。

どうして死んだんだよ。

気づけなかった自分に、鈍感で馬鹿な自分にイライラしていると、大きな茶封筒を持った警察の人がその中から淡いピンク色の、妙に分厚い封筒を一つ取り出して僕に手渡した。