君から声がかかる前に

「……はい。なんで僕の名前、知ってるんですか?」

別に反抗的な態度を取ろうとしたわけでは無い。

でも名前は一言も発していないはずだし、学校にいる生徒の名前を警察の人が知っているわけが無いだろう。

疑問に疑問が重なって、思わず聞いてしまった。

「屋上にこんなものが置いてあったんです」

警察の人が、大きな茶封筒を僕に見せた。

「書類か何かですか?」

僕が書類と言ったのは、茶封筒といえばというものを連想したからだ。