君から声がかかる前に

ピコンッというスマホの通知音で目が覚めた。

時間は二十時の十分前。

通知を入れて置いてよかったと一安心した後、少し余裕があったから何となくお茶を自分の部屋に運んでベランダに出る。

たまにはこういうのも悪くないかもな。

思い返すと、僕は自分の部屋のベランダで空を眺めるのははじめてかもしれない。

外には点々とする星空の中、オレンジ色に輝く大きな月が顔を出していた。

あなたは月が好きかと聞かれたら僕はこう答える。

微妙です、と。

そう、僕は星とか月がこれといって好きという訳では無い。

でもこの一瞬で、僕は月が好きになった。