君から声がかかる前に

「ね、中学もと登校してもいい?」

年季の入ったランドセルを背負いながら帰る通学路。

優弓のランドセルにも、僕のランドセルにもマジックペンで書いた寄せ書きが有り余るほど書かれていた。

こんなに書かれていたっけ?

自分の小学生の頃の友達の多さに少し驚いた。

「あ!私に書いてもらってない!」

「なにを?」

「寄せ書き!」

道のベンチに座ったかと思うと、マジックペンと少し重みのあるランドセルが渡された。