君から声がかかる前に

あと少し。あと少しで写し終わる……!

そう思って黒板、ノートと往復していると、とうとう消された。

先生が色違いのチョークで線を引いていたところすら書けずに、黒板は緑色のみの板に姿を戻した。

僕は諦めて隣で寝ようとしている咲に声をかけた。

「咲、ノート見せてくれない?」

「仕方ないなー。はい」

「ありがとう」

受け取ったノートを開くと、ミミズが這った
ような字が並んでいた。

借りておいて失礼だけど、これは読めない。

色ペンで線が引いてあるから、そこが僕の書きたいところなのは分かった。

けど、これ何?