君から声がかかる前に

こんなことしないでも許してくれるし、そこまで重い内容じゃないのに、許してもらおうと必死な僕と、頭がはてなマークでいっぱいな優弓。

それを見て、自分のあの頃からの馬鹿さに気付かされた。

「そんなことしなくていいよ。でもチョコ好きだし貰っちゃおー!」

僕の手から一粒チョコレートをとって、ビニールの包装を開けて口に放り込む。

美味しそうに食べる優弓は、幸せそうだった。

子供らしい、けど大人な対応に驚いた。

あの時の僕はそんなことをみている余裕がなかったみたいだ。