君から声がかかる前に

「つばきもう行ける?」

僕の家の玄関で、遠足のリュックを背負っている優弓と、同じようにリュックを背負っている僕がいた。

「うん!……あ、お弁当忘れた!ちょっと待ってて!」

玄関で靴を急いで脱ぐ僕を見て、「しょうがないなぁ」とつぶやく優弓。

「ごめんね、これあげるから許して?」

僕の手の中には、遠足のお菓子のチョコレート。