君から声がかかる前に

「起立。お願いします」

クラス長が授業開始のチャイムと同時にそう発した。

「はい、お願いします。今日は……」

このおじいちゃん先生、眠くなるんだよな。

社会の優しいおじいちゃん先生の声はまるで子守唄。

「ここを……西野くん」

びっくりして、慌てて黒板を見る。

そこには、十円玉の裏に描かれている、とヒントが書かれていた。

「はい。えっと……平等院鳳風堂?」

「正解。知ってて当然だったかな?」

そう、先生が黒板に色々書いていく。