君から声がかかる前に

何となく、思ったことを聞いてみた。

「いや、こっち方面だよ。ここよりもうちょっとあとのバス停で行き来してる」

「え、じゃあもしかして……」

「いやー、俺もびっくりしたよ。たまたまバスの中で見つけたから、一緒のバスだったんだーって」

「それ、こっちのセリフだから」

「こっちのセリフでもあるからな?」

「そうだけどさ。それより、なんで降りたんだよ」

「何となく窓の外みたらいたんだもん。降り
ちゃった」

てへぺろってやっているのか、ウインクをして舌をペロっと出している。