君から声がかかる前に

「椿、起きろー」

遠くから、咲の声が聞こえる。

さっきと同じ、誰かが僕の肩をトントンとして起こす感じもする。

あぁ、寝る時間は終わったんだなって、何となく察した。

「....もう一時間終わり?」

「おう。終わり。次現文だぞ」

「うわ、最悪」

そう返事をして、机の中から教科書とノートを引っ張り出す。

そういえば、今朝も今も見たけど、この夢だけは、夢なのに起きているときみたいに記憶力が働く。

いや、起きているとき以上だな。

自分ってこんなに頭働くんだってびっくりする。