君から声がかかる前に

「いいよ!ぼくもゆみと学校いきたい!」

この時の自分はどんな気持ちなんだろう。

そこにいるのも自分なのに、他人のようにサッパリ分からない。

「やったぁ!」

そう両腕を挙げてバンザイする優弓は、まるで天使のようで、それを見たあの頃の自分は幸せそうに笑っていた。

優弓もまた、幸せそうに笑っていた。

僕たちは、一緒にいることが出来る喜びに、きっと幸せを感じていた。

「小学校、どんなのかな」

夢見心地で僕に問いかける声は、今の僕にとっても心地よくて。

「きっと、すっごく楽しいところだよ!」

「だね!」