君から声がかかる前に

結婚式の帰り道を歩いていると、ドンッと誰かが僕にぶつかった。

「あっ!すみません」

「いえ、こちらこそ」

ぶつかってしまった相手の人が落としたハンカチを屈んで捨い、再び立ち上がる。

そこには、優しい雰囲気の、ふわっとした感じの女性が立っていた。

その人と目が合った瞬間、自分の中に電流のようなものが走るのを感じた。

「あの、ありがとうございます。……もし良ければ、ぶつかってしまったお詫びに今度食事でも行きませんか?」