君から声がかかる前に

ケーキの紙が出てきたから夢と同じだろうと思って、ずっと引き出しの中にしまってあった優弓の遺書。

何となく読んでみようと思って手紙を開く。

手紙の内容は、一部を除いてほぼ一緒だ。

優弓から直接受け取った遺書には、好き、なんて言葉は、一つも書かれていなかった。

おまけに、手紙を読んだ次の日の下校のときに優弓から恋愛相談を受けた。

「ねぇ、椿」

「んー?」

「相談してもいい?」

「いいけど……」