君から声がかかる前に

そろそろ気持ちが大きくなりすぎて穴があいてしまう。

もう言ってしまおうか。

言ったらもしかしたら、幼なじみ以上の関係に昇進できるのではないか。

ボケっと一人で考えながら、もう優弓と登下校することの無い道を、残りの高校生活も使い続けた。

高校三年に進級した日。

僕は家で、勉強机のほとんど開けない引き出しを開けた。

そこには、あの日優弓に手渡しで貰った遺書が隅っこの方に置いてあった。