流石に虐待の様子はテレビでは流れなかった。

僕も映像の音を聴いてもいないし、観てもいない。

警察に行った時、僕も観るものだと思っていたけど優弓が止めたのだ。

ポケットからイヤホンを取り出した優弓はそれを僕に渡して、椿はこれで音楽聴いてて、と隣にいても映像の音が聴こえないようにしてくれた。

きっと、僕が観たら相当なショックを受けるって分かっていたんだろうな。

優弓はこんなにも辛い、苦しい状況でもしっかりしていて、凄いなって思った。

同時に、生きていてくれて、助けることが出来て良かったと心の底から思った。