ある日、1人の少年がとんでもない手土産と共にやって来た。

 その少年は、とんでもなく顔立ちの整った少年で、身長が高くなければ、余裕で女にも見える位の顔立ちをしていた。

 あまりにも光の無い大きな瞳には、この世の全てを憎んでいるように感じて、一体何がそんなにその少年を闇に堕としているのか疑問に思っていたのだが、話を聞いた途端に分かる事になった。

 俺達の世界でも、それは無いだろと思わせるような事故の被害者の身内だったのである。

 その少年は、姉の写真を見せてくれ、自分の自慢だと言っていたが、多分、その姉も少年の事を自慢に思っていたに違いない。
 2人の少年少女は満面の笑みで写真に写っていたのである。
 少女の方は、少年よりは劣るが十分過ぎる程、顔立ちの整った子で、明るい性格なのだと感じさせる子だった。姉弟だと言われてみれば、共通点はあるのだが、パッと見ただけだと、恋人同士に見えるかもしれない。

 少年は、俺達ですら知らないようなとんでもない情報と、身体に後遺症の残らないとんでもない薬品を片手に、姉の事故の原因をこの世界から消す事を手伝うように言ってきた。

 自分は、バカだったばかりに、姉をこんな事故に遭わせ、挙げ句の果てに犯人まで捕まっていないと言ってきた。

 少年は、自分の事をあまり良く分かっていないように俺は感じた。
 この少年はきっと、姉の事が大好きで姉の好きな世界を愛していただけで、その他の事なんてどうでも良いのだと思う。