君の見ていた空


 「梓くん、キミの事件は必ず解決させてあげる。ボクの事を好きになってくれてありがとう。ボクも、これから獄門組を続けていくかどうかは、ちょっと分からないけど、梓くんには力を貸してもらおうかな。……この世は、理不尽に溢れている。梓くんのお姉さんの事故は理不尽だし、その後の対応だって、理不尽さ。ボクは、理不尽が大嫌いだ。……ボクの人生は、理不尽だらけだから、ボクの目に届く範囲には、少しでも理不尽を減らそうと思っていてね……。獄門組には、理不尽な境遇の子ども達が多くいる。親の理不尽を子どもに背負わせるのは、獄門組としてはタブーなんだ。……ボクが獄門組の組長である限り、己の失態は己で償わせる。……梓くんは、ボクに付き合ってくれる?……ボクは当たり前が良く分からないから、ボクのような人間をこれ以上増やさないようにこの余生を生きていこうと思っているんだよ。……母親を殺して、先代組長を殺したボクはもう人生をやりきったつもりでいて、11歳から永い余生を生きているんだヨ。……この余生は永いから最近、退屈でね……」

 ボクは空っぽなんだ。梓くんは大切な存在があってとても輝いている。梓くんはボクのところには堕ちてきてくれない。

 だけど、表から裏に来てくれた。ボクは、梓くんが欲しい。……一緒に、裏の世界で生きていこうよ。

 別にヤクザになる必要は無い。
 梓くんの大切な人だけを守れるような世界をボクと一緒に作っていこう?
 下らない人間共の手助けなんて、もう、する必要なんてないよ。

 梓くんのお姉さんが目覚めたら、ボク怒られるかもな……。 

 でも、凪沙様だって充分狂ったところがある。
 でなきゃ、ワザワザ、このボクが親衛隊なんて入る訳がない。
 凪沙様の闇は、明るくてドロドロしていて、とても気持ちが良い。

 早く目覚めないかなぁ。