梓さんは、今まで世の中の人々の役に立つような研究の手伝いをしていたらしい。

 しかし、梓さんがその手伝いを一切辞めた。その結果、驚く程、新しい研究や新技術の完成発表といったニュースを聞く事がなくなった。

 今までなら、数か月に一度はそういう話を聞いていたのにだ。

 驚いた。多分、そういう物の全てにこの九条梓という人間が少なからず関わっていたのだ。

 僕等人間は、きっと、怒らせてはいけない人を怒らせてしまったのだ。

 この後、とんでもない話が学校中の噂話として駆け巡る事になる。

 九条梓さんが、裏の世界の人間に、事件の解決の手伝いをしたという噂話だ。

 その話が回ってきた頃、梓さんの魔王様のような殺気が少し落ち着いてきたのだ。

 梓さんが登校してきてすぐに、凪沙様の親衛隊の隊長達を呼び出し、事件解決を手伝ってくれる力強い存在が手に入った。凪沙様が今よりもより良い治療が受けられる病院に転院するし、僕はようやく、彼奴等を痛めつけられる事ができる、というような話をしたらしい。

 何故、こんな情報を知っているかと言うと、ボクは九条凪沙様の親衛隊に入っているという事と、梓さんが地味なキャラでいた時、ちょくちょく会話をしていた存在なのである。

 だから、ボクは学校で梓さん(以前は、梓くんと呼んでいた)と普通に話す事があったのである。

 ちなみに、事件後も最近元気ないけど大丈夫?とか、変化後も、結構ドキドキしながら、一体、どんな心境の変化ですか?的な事を聞いたりもしていた。

 梓さんは、ボクにはとんでもない殺気を軽減させて、ちょっと最近、色々と悟り出したとか、凪沙ちゃん(凪沙様の呼び方が可愛すぎてちょっと鼻血が出そうになった)の事件の捜査を僕がする事にしたとか、最近、両親が正しい奴隷の作り方(?)をレクチャーしてくるとか、話してくれた。