あの日はとても晴れていた。

 僕の双子の姉、九条凪沙(くじょうなぎさ)は、いつものような満面の笑みで家を出て学校へ向かった。

 僕、九条梓(くじょうあずさ)は、姉から10分程遅れて家を出て学校へ行くこととなった。
 僕は、この判断を今でも悔やんでいる。僕が姉と一緒に家を出ていれば、姉はあんな事にはならなかったかもしれない。

 九条凪沙は、事故に遭い、頭を強く打った事によって、寝たきりとなった。

 犯人は、未だに見つかっていない。
 
 だけど、僕は、犯人に心当たりがある。

 絶対に、彼奴等しかいない。

 朝、学校へ向かう途中に起きた事故で、目撃者がいるのにも関わらず、犯人が未だに見つかっていない。こんな事を可能にする人間なんて、よっぽどの権力者でない限り有り得ない。
 そして、僕達の身近にはそんな事を可能にする、権力者がいた。日頃から素行も悪く、いつか取り返しのつかない事をするのではないかと囁かれていたような奴等がいた。
 彼奴等は、あの日、学校へ来る時間がいつもより遅く、顔色も悪かった。
 僕は、彼奴等と同じクラスだったから良く覚えている。何をやらかしたのか疑問に思っていたところに、僕の携帯に姉の事故の連絡が入った。