しょうがないから、許してあげる、……そう、用意していたはずのセリフをなぞろうとしても、なぜか声が出ない。
突然空気が抜けた風船みたいに、心臓の奥のほうがしゅるしゅるとしぼんで、俯くことしかできなくなる。
「、るか?」
「……なに、凪」
「照れてる」
「っ、て、れてない……!」
「あ、そ」
随分と素気ない返事、……でも、わかる。声音が、私のことをからかって弄ぶときの、ソレ。普段よりもちょっと高くて、なぜかたのしそうで、もの凄くいじのわるい、声。
「涙花、俺の瞳みて」
…………そして、とんでもなく、あまったるい(当社比)。



