ジェラシーを彷徨わせて




「あー……なに、今日欲しがりの日?」

「毎日欲しがりですけど、なにか?」
 

わざとらしく、ぱち、と瞳をはためかせて、にこっと微笑んでみせる。


そのまま語尾をすべてハテナで返すと、普段からしんでいる表情筋がふ、と緩められて、やわく、丸っこい声で名前を呼ばれる。想像していたよりもずっとやさしい声に、思わずびくりと指先が揺れた。



ゆるく巻いた髪を指先で丁寧に掬われて、視線を強制的に絡めとられる。

ツンとしたカタチを縁取る瞳がゆるりと細まって、凪の青みがかった虹彩に艶やかな色が混ざる。そうして、綺麗に溶けあって。



「かわいい」

…………うん、及第点、というところ。