「、るか?」
「うん、るか。はやく起きないと遅刻しちゃうよ」
「……るかチャン、あと5分寝かせて」
「だ〜め。ほら、はやく起きよう?」
「……つかなにその口調、キャラ変?」
その瞬間、ぶち、と頭の中で血管が切れる音がした。
「はやく起きろって言ってるの、遅刻してもしらないから!ぜったい待たないから!!」
精一杯睨みつけて、ぐるんっとそっぽを向く。
そのはずみに散らばった髪が凪の目元を掠めたらしく、痛い、と不服そうな声色をあげながら渋々といった様子で上半身を起こす凪。
寝起き特有のぽけっとした瞳で無言でこちらに視線を送ってくるので、威嚇するようにべ、と舌を出してみせれば。
「……なに、おはようのちゅーのお誘い?」
アクビを零しながら、ぱち、ぱち、と嫌味なほど長い睫毛をゆったりと瞬かせて、そんなトンチンカンなセリフを吐く。
薄い線を描く口元を歪ませて、憎たらしいくらいに綺麗な顔で薄くわらって、――――――――ああ、もう!
「凪のばか!!なぎハゲ(?)!!」
頭突きを喰らわせたい衝動を必死に抑えながら、凪の寝室のドアをバタン!と勢いよく閉めたのだった。
「……いや、ハゲてないが」