ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その27
夏美



でも、少し間をおいて、口を開いてくれてね

「相和会に段取りを取ったのは僕じゃない。パイプはないので、僕には。今日は”ある人”が手配しました。その人が誰だかは、今は言えません。そういう約束なので。その人が今日、こういった動きをしたことは、僕と三田村さんしか知らされていません」

どうやら私の”カン”は外れていなかったようだ…

「…相川さん。正直に言うと、僕、ここに来てる北田久美と付き合ってるんです…。もっとも、それはつい最近のことですけど。そのこと、同じくここにいる岩本真樹子さんは知っています」

これまた仰天だわ!


...



「でも、僕や相和会がここにってことは、久美ちゃんも真樹子さんも知りません。僕も話していないし。相和会を繋いだ人物は、現時点では誰にも知らせないことがベターと考えたようです。その人、今日の決戦を大打なんかには、決して邪魔だてさせたくないと願っていたと思いますよ。相川さんなら、理解してもらえるはずです…」

もう間違いないだろう…

その人物とは、本郷麻衣だ

「浅土さん、分かりました。いろいろご足労いただいて感謝してます。南玉…、いえ、ここに集っている両サイド関係者全員に代わって、お礼させてもらいます。ありがとうございました」

「じゃあ、相川さん…」

「このことは誰にも話さないでおきますよ、当面。ひとつ、よろしくお願いします」

「かしこまりましたよ、相川さん。奴らの汚い手で、今日の舞台を台無しにはさせません。最後まで、目を光らせていますので、安心して雌雄を決着させてください」

浅土さんがどういういきさつで麻衣とつながったかは知り得ない

でも、いい人だわ

北田久美は、素敵な彼氏を見つけたわね(笑)


...



さあ、そうとなれば、ここは浅土さんにお任せでいいわ

祥子とバグジーの対決が佳境に入ってるのは、ここでも周囲の反応で判断できた

あの1年を連れて早く戻ろう…

そして、”リングサイド”でクライマックスを見届けさせなきゃ

私は10Mほど離れたところで待たせていた彼女の元へ走った

「ああ、待たせたわね。話は終わったわ。急いでセンターへ戻ろう。いよいよなんでしょう、祥子…」

「はい…、なんかすごい戦いになってるようです。ここからだと、はっきり見えませんが…」

この子も興奮してる

よし、祥子…、最後の決着、見届けるわよ

頑張るのよ…

私は後輩を後ろに乗せ、エンジンを吹かしたわ