その13
祥子
「津波さん…、この男の素性は勘弁させてもらう代わりに、オレは名乗ろう。御手洗ってもんだ。もしかしたら、そちらさんでも既に周知ってとこかもな」
やはりピンポンだったか‼
「名乗ってもらってありがとうございます。では御手洗さん…、早速ですが、あちらのお仲間さん、他のお客さんに迷惑行為みたいです。早速、止めてきてもらえますか?」
私はスロットル脇の3人を指さして、端的にぶつけた
「首を縦に振らなったら、津波さんはどう出るのかな?」
「あのですね…、このジャッカル・ワンはこの半月でお客さん激減なんですよ。マナーの悪いお客が増えたってんで。私らと同じ志の仲間たちが共同で、ここ最近、粛々とそれらの迷惑行為を排除してるんで。あなたが止めないなら、私が直に”注意”をしてきます。上着を脱いで指を鳴らして、今から」
この間、御手洗と私は視線を鋭く交わし合っていたよ
「よし、一応、聞いておこう…。アンタの言うアンタの仲間とは、本郷麻衣も含まれてるのか?」
早くも麻衣の名を口にしてきたな
もう、三田村さんの見立てはすべてで間違いないって!
私はすでに全身が熱くなっていたよ
「想像に任せますよ、御手洗さん。然るべき上司には、そう伝えてください」
御手洗はじっと私の目を見つめていたよ
その間、数十秒無言でね…
...
「…おい、あっちの3人呼んで来い。で、外で待ってろ!」
御手洗は、私からその目線を離さず、ちょび髭でサングラスをかけた中肉中背の男にやや強い口調でそう命じた
ここで私の方は克子に目配せして、スロットル脇で待機してるたっこへの指示を出した
一方、スキンヘッドは私をまるで舐め回すように、ややニヤケ顔でどうやら”見定め”してるようだったわ
コイツが私の戦うことになる、次の相手か…
私はすでに武者震いしていたわ
...
「津波さん…、とりあえず、今日は引き上げさせてもらいます。この店は実にいい。いろいろ参考にさせてもらってるよ」
「店名もでしょ。…ああ、せっかくなんで、このジャッカル・ワンってネーミングの由来を教えておきますよ。ココのマスターは北海道出身で、オオカミには親近感を持っていたってことで、オオカミの仲間であるジャッカルをセレクトしたんですが、ワンはイヌ科を意識してのことと、将来は多店舗化も目指そうって気持ちから、一号店ってことでワンを付したんですね」
フン…、ここで目の前の3人は顔つきが変わったって
他方、私の隣の克子はクスッと、意地悪な笑みをこぼして連中をひと睨みしてる
まあ、ここはナイス・ジョブとしとこう(苦笑)
「だから…、今回オープンしたジャッカル・ニャンが2号店だと勘違いしてるお客さんもいらっしゃるようで、あれは全く別物、似て非なる粗悪店なんでご注意をって説明してますわ。…悪しからず」
おっと、ここまでくると、克子は吹き出しちゃった
おー、そこへ静美が後方待機の5人を連れて戻ってきたぞ!
えーと、女が3人の、男が2人…
あれ…?
なんと…、墨東のトップ積田さんと迫田リエの顔もあるぞ‼
アハハ…、静美は入り口で5人を待機させてこっちに手をかざしてるわ
うん!
新村静美は、ちゃんと今の状況を読み取ってるようだな
...
どうやら、我が陣営の威嚇は目の前の連中も敏感に捉えたようだったわ
御手洗め…、顔色がはっきり変わってるって
さあ、そろそろ本性見せてみろって‼
「津波…、デカイのはガタイだけじゃないようだな。それにアタマの中身も…。さすがだ。…帰ったら今の言は”上司”によく伝えておこう」
「たのんます、御手洗さん」
私はこの時、御手洗の血走った眼光を見落とさなかった
祥子
「津波さん…、この男の素性は勘弁させてもらう代わりに、オレは名乗ろう。御手洗ってもんだ。もしかしたら、そちらさんでも既に周知ってとこかもな」
やはりピンポンだったか‼
「名乗ってもらってありがとうございます。では御手洗さん…、早速ですが、あちらのお仲間さん、他のお客さんに迷惑行為みたいです。早速、止めてきてもらえますか?」
私はスロットル脇の3人を指さして、端的にぶつけた
「首を縦に振らなったら、津波さんはどう出るのかな?」
「あのですね…、このジャッカル・ワンはこの半月でお客さん激減なんですよ。マナーの悪いお客が増えたってんで。私らと同じ志の仲間たちが共同で、ここ最近、粛々とそれらの迷惑行為を排除してるんで。あなたが止めないなら、私が直に”注意”をしてきます。上着を脱いで指を鳴らして、今から」
この間、御手洗と私は視線を鋭く交わし合っていたよ
「よし、一応、聞いておこう…。アンタの言うアンタの仲間とは、本郷麻衣も含まれてるのか?」
早くも麻衣の名を口にしてきたな
もう、三田村さんの見立てはすべてで間違いないって!
私はすでに全身が熱くなっていたよ
「想像に任せますよ、御手洗さん。然るべき上司には、そう伝えてください」
御手洗はじっと私の目を見つめていたよ
その間、数十秒無言でね…
...
「…おい、あっちの3人呼んで来い。で、外で待ってろ!」
御手洗は、私からその目線を離さず、ちょび髭でサングラスをかけた中肉中背の男にやや強い口調でそう命じた
ここで私の方は克子に目配せして、スロットル脇で待機してるたっこへの指示を出した
一方、スキンヘッドは私をまるで舐め回すように、ややニヤケ顔でどうやら”見定め”してるようだったわ
コイツが私の戦うことになる、次の相手か…
私はすでに武者震いしていたわ
...
「津波さん…、とりあえず、今日は引き上げさせてもらいます。この店は実にいい。いろいろ参考にさせてもらってるよ」
「店名もでしょ。…ああ、せっかくなんで、このジャッカル・ワンってネーミングの由来を教えておきますよ。ココのマスターは北海道出身で、オオカミには親近感を持っていたってことで、オオカミの仲間であるジャッカルをセレクトしたんですが、ワンはイヌ科を意識してのことと、将来は多店舗化も目指そうって気持ちから、一号店ってことでワンを付したんですね」
フン…、ここで目の前の3人は顔つきが変わったって
他方、私の隣の克子はクスッと、意地悪な笑みをこぼして連中をひと睨みしてる
まあ、ここはナイス・ジョブとしとこう(苦笑)
「だから…、今回オープンしたジャッカル・ニャンが2号店だと勘違いしてるお客さんもいらっしゃるようで、あれは全く別物、似て非なる粗悪店なんでご注意をって説明してますわ。…悪しからず」
おっと、ここまでくると、克子は吹き出しちゃった
おー、そこへ静美が後方待機の5人を連れて戻ってきたぞ!
えーと、女が3人の、男が2人…
あれ…?
なんと…、墨東のトップ積田さんと迫田リエの顔もあるぞ‼
アハハ…、静美は入り口で5人を待機させてこっちに手をかざしてるわ
うん!
新村静美は、ちゃんと今の状況を読み取ってるようだな
...
どうやら、我が陣営の威嚇は目の前の連中も敏感に捉えたようだったわ
御手洗め…、顔色がはっきり変わってるって
さあ、そろそろ本性見せてみろって‼
「津波…、デカイのはガタイだけじゃないようだな。それにアタマの中身も…。さすがだ。…帰ったら今の言は”上司”によく伝えておこう」
「たのんます、御手洗さん」
私はこの時、御手洗の血走った眼光を見落とさなかった



