ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その56
バグジー



「…バグジー、今電話で話してきた。麻衣は店にいたよ。明日の午後1時、逆髪神社境内でOKってことだ」

「そうか。じゃあ、明日会ってこよう、麻衣とは…」

「俺は立会わなくていいんだな?」

「ああ、あの子とは二人で話をしてくる。この際、直接聞きたいこともあるんでな…」

「わかった。まあ、頼むわ。来週には乗り込むらしいからな…。”敵”のことはヤツもそれなりに知り得てるみたいだが、お前からもまあ、いろいろと教えてやってくれ」

私は無言で頷き、タバコの火を灰皿で押し消した


...



夕方3時過ぎ…、K駅近くの喫茶店で、三島優子を連れた砂垣と会っている…

体の痛みはほとんど取れ、今日はこれからジムで汗を流すつもりだ

「…ジャッカル・ワンの方はどうなんだ?」

「おお、抜かりないわ。…南玉と紅組、それに真樹子の編成した各勢力の女たちをよう、ローテーションで常時配置させてる。外には、墨東のメンバーも遠巻きに待機してるしな。段取り通りで、今んところ、連中はアクションを起こしてこない。様子見ってところだろうが、コトが起これば万事、申し合わせ通りで行ける手はずになってるよ」

「うむ…。おそらく連中は、ジャッカル・ニャンのオープンまでは動かんだろう。だが肝心なのは、こっちの関与が入ってることをビシッと示すことだ。麻衣が行動する際、そのプレッシャーが下地になる。なるべく人員の交代は頻繁にして、店内ではこまめに移動し、動線をアクティブにするよう心がけるんだ。店の客にも、平常の安堵感と安心感を与えるように意識してな」

「よし、祥子と真樹子にはその辺、よく言っとこう…」

砂垣はそう答えると、隣の三島に何やら会釈してるな


...



「…なんだ、これ?」

三島は持参していた手提げ袋から何やら取り出し、私の前に置いた

「柴崎さん、これ、二人から…。今回の気持ちなの。受け取って」

「…開けていいのか?」

「ええ、どうぞ…(笑)」

包み紙を剥がし、その割と小さい箱を開けると、中はライターだった

「おい…、いいのか?これ、デュポンじゃねーか」

「ハハハ…、靴とかも考えたんだが、おしゃれなお前には俺達のダサいセンスじゃちょっとな…。”それ”なら、無難かと思ってさ。優子が選んだんだ」

「だが、報酬は星流会からしっかり受け取ったぞ」

「…私たち、柴崎さんにはホント、感謝してるのよ。スクラッププール決戦では、あなた、私たちの仲間として命がけで戦ってくれたわ。もっとも、これからもお願いって分も含まれてるけど…。ふふっ…」

「そうか…、すまんな。遠慮なくもらっておこう。お前たちの気持ちは嬉しい…」

うん、このデザインはいいな…

私は早速手に取り、何度かカチャカチャやってみた

すると、この二人、クスクスと笑ってやがる…


...



「…それとな、祥子からも落ち着いたら”再戦”をってお誘いがあったぞ」

はあ⁇

あの女…、またやるってか…?

「ハハハ…、バグジー、何ぽかんとしてるんだよ。今度はジャッカル・ワンでキューを握ってよう、台で勝負したいってとこだわ、お前とは(笑)」

おお…、そう言うことか

「ふう…、一瞬、冷や汗が出た。なら、津波にはその”再戦”なら、快諾だと言っておいてくれ」

また二人とも、今度はケラケラと笑ってやがった…