ツナミの女/80S青春群像『ヒートフルーツ』豪女外伝/津波祥子バージョン編【完結】

その52
ケイコ



「あっ、そうだ…。横田さんは今日の双方合意決定を以って、外れるんだったな。なら…、あとの話はもう耳にしない方がいいか。横田さん、家はどこだっけ?」

「S町のはずれで、A中学の近くです」

私は、咄嗟に砂垣さんの意図が読み取れたので、躊躇わずにそう答えた

「ああ…、その辺りなら、これから優子と会う場所に近いから、送って行くよ」

「えっ…?でも、あのう…、祥子、いい?」

祥子が私には、”この後”までを望んでいないということは承知していたけど…

「うん、じゃあ、そうしてくれるかな。でも、砂垣さん、コイツは素敵な恋人が待ってるんだから、変なところ連れ込んじゃダメだぞ」

「はは…、こっちだってよう、そんなことしたら優子に殺されるわ。俺もまだ死にたくねーしよ」

「アハハハ…」(全員、腹を抱えて爆笑)

ふふっ…、今日は砂垣さんのいろんな面を見た気がするよ



...



「それでよう、せっかく前向きなモードに入って、また気分暗くしちゃうかもしれねえんだが、仮にジャッカル・ニャンから大打を追っ払えたとしても、腐った根っこは抜けないと思う。奴はこの地のガキに寄生するだろう。そんで、坂内さんの青写真に則して行動する…」

この場は、また重苦しい空気に支配されちゃったよ

「…悲観的な見方はしたくねえが、大打ノボルの類は、時代の背景もあって、この先どんどん増えるだろうな。おそらく、ここにいるメンバーの下の世代も長く向き合っていくことになるよ。第2、第3の大打ノボルとな…」

砂垣さんの隣に座ってる大場さんは、俯いてため息を漏らしてる

モリタクさんは口を真一文字にして、何とも厳しい表情だ

そして砂垣さんの顔つきは、なんか悲しそうに見える…


...



「クソッ!そんなの、ふざけんなだろ‼」

祥子はやるせない怒りに身を震わせてるようだし

「…坂内さんは、大打のレベルま”で許容”できるガキとのパートナーシップを実践、構築したら、将来的な”業界”の標準仕様に定着させる目論見だ。”それ”を、この地から全国に派生させようとしてるんだ。その顧客対象には、相和会と歩調を一にしたらしい関西の一部も含まれるというしな。…俺は自責の念からも、その邪悪の芽を何としても枯らしたい。だからさ、ここで、俺達でできる限りはやっておかなきゃってな…」

この人の言ってること、なんだか重いよ

明らかに一線を越えた連中が、それこそ、一般の中高生の間にまで浸食してくるのかよ!

絶対、ダメだって、そんなの許しちゃ‼