その48
砂垣
さあ、ここでもう一演説必要だな
「…まずよう、確実に言えることは、相和会がこの状況を黙って見過ごすことはないってことだよ。だが今、本田に言った通り、奴らをぶっ潰したいのはやまやまでも、簡単に手は出せない…。そうなるんだ」
この手の説明は、し始めるときりがなくなるんだが…
当事者間の利害関係が複雑に絡み合ってることは理解してもらおう
「…さっき触れた新体制の相和会と東西の全国組織とで合意したガイドラインには、各者の思惑がさ、それこそぎゅうぎゅうに凝縮されているんだろう。要は、敵対行為など軽はずみには起こせない抑止力が、様々な角度から、それぞれに作用している訳だわ」
このあたりで、俺の話を聞いてる横田競子の食い入るような視線が、他の連中とはどこか違うことに気付いた…
...
「…今回、相和会は関西側に、実質テリトリーへの一部進出を認めたんだ。それはさ、単純に考えれば関東側は星流会がこの都県境の最南端を相和会と長く共有していたからさ、そのバランスを図ったってことになるよな。無論、そこでの付随条件はいろいろ伴ったと思うが、両広域組織側としては、相和会の領分に入り込める下地の”確保”は欠かせなかったってことだわ」
「うーん。でもさ…、結局その構図って、関東・関西が相和会の勢力圏獲得を競ってるって側面はあるでしょ?なら、一見均衡を保ったようでも、緊張状態とは背中合わせなんじゃないのかな…」
祥子は高校ダブってても、頭キレるじゃん(笑)
...
「…全く、祥子のおっしゃる通りだよ。奴らの偽らざる本心は、相和会の縄張りを得たいんだ。”ここ”は特別においしいんだよ。簡単に言うと、相馬さんはいわゆるショバ代を取ることに極めて淡白だったからさ…。言ってみれば、シノギの資源が眠ったままなんだ、相和会のお膝元は。ヨダレもんだよ、それだけでも」
「ふーむ…、なるほどねえ…」
祥子は腕組みしながら盛んに頷いてるわ
「…業界では極めて稀有かつ特異な存在だった相馬さんは、これまでずっと、東西の手に染まらず、ホームグランドを守ってきたんだよ。県警なんかは”そこ”を高く評価してて、その恩賞として権力側の助力を惜しまなかったらしい。なので、東西両大手もよう、その後ろに控える権力側の目があるから、一辺倒な力づくは振るえないってジレンマがある」
「…」
何しろだ…
県警と相和会との特段クラスに付される蜜月関係は、ここに住む市民の多くが黙認しているんだからな
それは相馬さんが地元名士の一面も備えていたため、好意的に捉えられてることが大きいよ
相馬さんはやくざではあったが、ここでは必ずしも庶民の敵ではなかった
少なくとも、この視点は昔からずっと変わってないんだよな
県警や権力サイドは、そこを重んじてるから、相和会をこれまでずっと過剰なまでに庇護したきた
この循環作用、そのことイコール、東西の広域組織が何としても相和会を傘下に組み込めなかった遠因でもあったって訳さ
砂垣
さあ、ここでもう一演説必要だな
「…まずよう、確実に言えることは、相和会がこの状況を黙って見過ごすことはないってことだよ。だが今、本田に言った通り、奴らをぶっ潰したいのはやまやまでも、簡単に手は出せない…。そうなるんだ」
この手の説明は、し始めるときりがなくなるんだが…
当事者間の利害関係が複雑に絡み合ってることは理解してもらおう
「…さっき触れた新体制の相和会と東西の全国組織とで合意したガイドラインには、各者の思惑がさ、それこそぎゅうぎゅうに凝縮されているんだろう。要は、敵対行為など軽はずみには起こせない抑止力が、様々な角度から、それぞれに作用している訳だわ」
このあたりで、俺の話を聞いてる横田競子の食い入るような視線が、他の連中とはどこか違うことに気付いた…
...
「…今回、相和会は関西側に、実質テリトリーへの一部進出を認めたんだ。それはさ、単純に考えれば関東側は星流会がこの都県境の最南端を相和会と長く共有していたからさ、そのバランスを図ったってことになるよな。無論、そこでの付随条件はいろいろ伴ったと思うが、両広域組織側としては、相和会の領分に入り込める下地の”確保”は欠かせなかったってことだわ」
「うーん。でもさ…、結局その構図って、関東・関西が相和会の勢力圏獲得を競ってるって側面はあるでしょ?なら、一見均衡を保ったようでも、緊張状態とは背中合わせなんじゃないのかな…」
祥子は高校ダブってても、頭キレるじゃん(笑)
...
「…全く、祥子のおっしゃる通りだよ。奴らの偽らざる本心は、相和会の縄張りを得たいんだ。”ここ”は特別においしいんだよ。簡単に言うと、相馬さんはいわゆるショバ代を取ることに極めて淡白だったからさ…。言ってみれば、シノギの資源が眠ったままなんだ、相和会のお膝元は。ヨダレもんだよ、それだけでも」
「ふーむ…、なるほどねえ…」
祥子は腕組みしながら盛んに頷いてるわ
「…業界では極めて稀有かつ特異な存在だった相馬さんは、これまでずっと、東西の手に染まらず、ホームグランドを守ってきたんだよ。県警なんかは”そこ”を高く評価してて、その恩賞として権力側の助力を惜しまなかったらしい。なので、東西両大手もよう、その後ろに控える権力側の目があるから、一辺倒な力づくは振るえないってジレンマがある」
「…」
何しろだ…
県警と相和会との特段クラスに付される蜜月関係は、ここに住む市民の多くが黙認しているんだからな
それは相馬さんが地元名士の一面も備えていたため、好意的に捉えられてることが大きいよ
相馬さんはやくざではあったが、ここでは必ずしも庶民の敵ではなかった
少なくとも、この視点は昔からずっと変わってないんだよな
県警や権力サイドは、そこを重んじてるから、相和会をこれまでずっと過剰なまでに庇護したきた
この循環作用、そのことイコール、東西の広域組織が何としても相和会を傘下に組み込めなかった遠因でもあったって訳さ



